※今日はたんなる悩みごとです
朝、ごはんを食べ終わって「さ、着がえよう」と私が言う。
それが闘いのはじまりです。
S志 「ちょっとまって」
(5分後)「さーてママとどっちが早く着がえられるかな〜」
S志 「ちょっとまって」
(5分後)「着がえてください。おねがいします」
S志 「ちょっとまってよ」
(5分後)「もういい。ママ行っちゃうからね」
S志 「やだあ!」(泣き出す)
時間はもうギリギリ。そしてとうとう、私は言ってしまうのです。
「はやくしてよ!」
あーあ……今日も言ってしまった。何度、心のなかでつぶやいたことでしょうか。
その結果はいつも同じ。
泣きわめくS志を、あらぶる新巻鮭を抱えた漁師のごとく抱きかかえて、保育園へと爆走。
道路に響きわたる泣き声。しわくちゃになる洋服。
バイバイしてくれないS志の後ろ頭。
バスに駆け込んで、後悔とイライラで泣きそうになりながら、仕事に行く。
今年の春から、こんな朝が続きました。
よく本や雑誌で「『はやくはやく』と子どもをせかすのは、大人のエゴ」というような話を見かけます。確かにそうかもしれない。
私だって、ほんとうは言いたくない。
でも、「子どものペースを大切にしたいから」で仕事に遅刻できるの?
急ぐときは急げる子になってほしいと思うのはいけないこと?
どうしたらいいの……?
もう、どうしろっつーのヨ?(だんだんやさぐれてきた)
S志と格闘した朝は、いつもそんな自問自答スパイラルにはまっていました。
ある日、ブルーな気分に耐えきれず、仕事先の女性に相談してみることにしました。
大学生の娘さんが2人いる、大先輩ママです。
うんうんと聞いてくださったあと、こんなことを聞かれたのです。
「もしM子さんが、ダンナさんに同じことを言われたら、どう思う?」
うーん……
ダンナ「さ、着がえようよ」
ダンナ「どっちが早く着がえられるかな〜?」
ダンナ「お願いだから着がえてください」
ダンナ「はやくしろよ!!」
……おお! すごくイラッときた……!!
パーッと霧が晴れて、S志の気持ちがわかったような気がしました。
そして次の朝。
こんなふうに言ってみました。
「もう着がえる? 服出しとこうか?」
「もうすぐ出ようと思うけど、大丈夫?」
この日、いつもより早い時間に、手をつないで、スキップしながら保育園に行きました。うれしくてS志がジャニーズのY田R介くんに見えるほどでした(親バカもフルパワー)。
他人なら素直に聞けるのに、家族に言われるとイラッとくること、ありますよね。
「自分×S志」の距離感と、「ダンナ×自分」の距離感はほとんど同じなのかもしれません。
2つをときどき置き換えて考えるようにしてみたら、S志にぐっと伝わりやすくなりました。言葉のかけ方も、叱り方も。
ときには親の厳しさを出すこともだいじ(苦手だけど)。でも今回は、子どもだからとたかをくくって甘えていたのは、私のほうだったのだと思います。
長きにわたって悩んでいたぶん、答えが見つかったうれしさは格別。
電車に揺られながら、「やったー!」と心の中で叫びました。
ゲームでいうと、難解RPGでラスボスを倒せた瞬間の気分です。
それから1週間くらい時は流れ……昨日。
私 「そろそろ着がえとく?」
S志「わかってる」
私 「あとどれくらいで行けそう?」
S志「わかってる」
わかってる が M子 のまえにあらわれた!
わかってる は バリアにつつまれている!
M子 のこうげき!
「そろそろ出かける時間だよ!」
「わかってる!」
M子 のこうげき!
「もう行こうよ!」
「わかってる!」
M子 のこうげき!
「ママお仕事おくれちゃうよ!」
「わかってる!」
わー!