ミルティンママの小さな魔法
カレーがおいしい季節ですね。
わが家では、このところ毎週カレーを食べております。
私は、カレーには好きなスパイスを何種類も盛るのが好きです。
キムチ鍋は豆板醤で真っ赤に染めたい。
麻婆豆腐には手がしびれるほど黒コショウをひきたい。
辛いものを「水飲みたい」という衝動に耐えて食べ続け、デッドポイントを超えたときの恍惚感。自分との闘い。魂の爆発。
と、しょっぱなから空気が読めなくなる程度に、辛いものが好きです。
でもそんな激辛ライフとも、母親になってからしばらくは縁遠くなっていました。
辛さへの情熱が再燃したのは、S志が2歳になった夏の、ちょうど今頃でしたね。
辛いメニューをまた作り初めてからもS志には別でごはんを作ってあげていたんですが、これがけっこう、めんどうくさかったです。
一緒に食べられたらいいのになあ。
その頃は「インドや韓国の子は何歳くらいから辛いものを食べているのか?」というギモンを、誰彼にすきあらばぶつけておりました。
そんなある日。
自分史上最高おいしいカレーを作ってしまいました。
「うまいィ……ッ!」と白目をむきながら、こればっかりはS志にも食べさせたいと思いました。でもやっぱり、ちょっと辛い。
しかし、水で薄めるとか、甘みを足すのはハイリスクである。この味は再現できない気がする(事実できなかった)。
そこでふと、ある記憶がよみがえってきました。
大学時代、京都のハワイアンカフェでバイトをしていたときのことです。
ここのマスターがおちゃめな方でして、まかないのパスタに、激辛ハバネロソースが大量に仕込まれていたことがあったのです(小ビン半分相当)。
これを食べたときは、本当にお星さまがいっぱい見えました。
そんな私(小刻みに揺れてたらしい)にさすがにビビったのか、マスターは冷凍庫から何かを取り出し、私の口にスプーンを突っ込んできました。
そのまろやかな甘みでパッと目が覚め、ぶじ人間界に帰還。
あとで聞いたら、ココナッツミルクのシャーベットでした。
「辛さが消えるやろ。魔法のシャーベットやねん」とさわやかに笑うマスターに、「すごいですね~」と感心しましたが、今考えたら感心してる場合じゃないやろ。
「あっ、牛乳でもいいんじゃないの」
あのときの、ココナッツミルクの魔力を思い出したのです。
カレーをひとすくい取って、牛乳を混ぜてみました。
すると、辛さがすーっと落ちつきました。それでいて、ルーのうまみはぐっと増したような気がしました。
テーブルに差し出してみると、S志はおいしそうに食べていました。
これ以来、「牛乳ちょい足し」は、わが家の定番おたすけテクに仲間入り。
辛い系以外にも、ラーメンなど塩の利いたスープや、脂の溶けこんだシチューなどのおとな味のメニューが、牛乳をちょっと足すだけで、子どもにやさしい味になるのです。
こんなふうに足して、混ぜるだけ。
パステルカラーになるまでよく混ぜるほど、味がなじんでおいしいです。
カレー風味のトマトソースにもちょいと。やさしいバラ色になります(奥は混ぜる前のもの)。クリーミーでおとなにもおいしい。
甘さが気になるジュースにも、ちょい足し!
ぶどうジュースをぶどうミルクに。
ジュースがぶ飲みによる糖分とりすぎをおさえつつ、栄養のバランスも取ってくれるのがうれしい。
「牛乳ちょい足し」のいいところは、
・水で薄めるよりも、だんぜんおいしいところ。
・栄養もプラスできるところ。
・混ぜるだけでいいところ(ここ最重要)。
「そろそろあかちゃん味、やめてもいいかな?」と思われているお母さんには、ぜひ一度試してみてほしいです。
実験みたいに、いろいろ入れてみると楽しいですー。
ちょい足しするたび、「スゴイな~」と感動するのは、
牛乳の、いろんなものを「まるくする」ちからです。
子どもには強すぎる「味のカド」を、まるくしてくれる。
激しい色のお料理もやさしいパステルカラーになって、子どもがよろこぶ色になる。
ひとすくいの牛乳で、子どもと大人の世界が、お皿の上でつながる。
これはまさに、
子育てママのための「白魔法」や~
うまいこと言ったつもりです。