新年も明けて2週目となりました。
ひっぱっていた正月ボケも、わが家のミルティンくんことS志の保育園再開とともに去りゆきました。
保育園の朝ってこんなに戦場でしたっけ……。
さて、今日は最近おもしろくなってきたS志の恋愛事情を書こうと思っていたのですが、仕事先で思わぬミルク論議がありまして。ちょっとそれについて書きたいと思います。
いつもお世話になっているB事務所でのこと。デスクを借りて仕事をしていたら、スタッフのN子さんとC子さんが、「あれはビックリしたよね」と、なにやらうなずき合っていました。
「薄い、薄いと思ってたら」
「あれほどガラッと変わるなんて」
「やっぱり合う、合わないがあるんですね」
……
ヅラの話?
つい耳が向いてしまったためパソコンのキーボードをたたき間違えて焦る私の背後に、N子さんが近づいてきた。わっ、その話、知りたいような知りたくないような。うう。
「Mちゃん、ケニアのお茶って飲んだことある?」
毛っ?
「ケニアの紅茶、すごいんだよ」
け、ケニア。そうですか。
ケニアってコーヒーっぽいようなイメージ(あいまい)だけど、紅茶とかもあるんですか。
N子さんによると、
少し前に仕事先の方から、ケニア産の紅茶をもらったのだそうです。
珍しいものにはしゃいで、さっそく事務所のみんなにお茶をいれてみた。
ところが、飲んでみると、なんだか薄い。
「香りはするけど、味がしない」。首をかしげるスタッフたち。でも茶葉もじゅうぶんだし、抽出時間もしっかり取ったはず。きっと、そもそも薄味のお茶なんだろう。なかばガッカリしながら、もったいないので何か足して飲みきろうと、N子さんはみんなのカップに牛乳を加えてみたのでした。
「あっ!」
飲んでビックリ。事務所は騒然。
「ぜんぜん違う飲みものになった」。
N子さんはその衝撃を思い出したのか、私に興奮ぎみにつめよってきました。
うーん、薄いうえに牛乳入れたら、さらに薄まる気がするけどなあ。
「でも、牛乳入れたあとのほうが、本当にだんぜん、おいしいんですよ」。
ふだんはおっとりしたC子さんが珍しくキッパリ。
むむ、そこまで言うなら飲んでみたい。というか飲ませてください。
茶葉がこちら。顆粒のような細かさ。
まず、ストレートでゴクリ。
……
うん、薄いっ!
なんていうんですかね、飲み慣れた紅茶の味がしない。かといって変わった味もしない。
渋みは、後味に一瞬ほわっとして去っていく。
香りはとてもいいです。桜餅に使われる桜の葉のような、お香のような香りがします。ただ、「わあいい香り!」というほど芳しくもない。
いいもの持ってるのに、ことごとくひっこみ思案。
もっとバーッと出て! 勇気出してYOU!
にわかに勝手な老婆心(?)におそわれていると、
したり顔のN子さんがあたためた牛乳を持ってきました。
(ほんとに大化けするのかねえ)
ゴクリ。
……
「おお!」
紅茶らしい渋みとコクが、浮き彫りのようにぐいっと出てきた!
桜餅のようなほのかな香りは、何が起こったのか、クルミに似た骨太な香ばしさに変身。
牛乳は少し加えただけなんですよ。なのに、牛乳で煮出したロイヤルミルクティーみたいに濃厚なコク。
ほ、ほんとにアンタさっきのひっこみ思案なのっ。
調べてみると、ケニアはインドに次ぐほどの紅茶生産国らしいですね。
ケニア紅茶は日本ではあまり見かけないものの、イギリスなどでは「ミルクティー向き」としてわりと知られた存在なのだとか(日本ケニア交友会HPより)。
顆粒のような細かな茶葉も、ケニア紅茶の特長のひとつのようです。
でも、ミルクティー向きといえば、味が濃くて、渋みがしっかりある茶葉というのが一般的ですよね。ウバやアッサムが代表格。逆に、味が繊細なダージリンなどは、ミルクティーに合わないといわれています(発酵が進んだ濃いめのタイプもあるそうですが)。
ケニア紅茶は、ストレートで飲んだときは味も渋みも薄かった。それがなぜ濃厚なミルクティーになるんだろう。
気になってきた私たちは、ほかの茶葉もつぎつぎに飲み比べてみました。
(仕事は……?)
結論。
「やっぱり、香りだと思う」
そう、牛乳には、「香り」を際立たせる効果がある。
これはミルクジャパン公式ブック『ミルク世紀』の「ミルクラボ」という章(牛乳に味噌やワサビなどいろいろなスパイスを入れて実験を行っている)でも出されている結論です。たとえばワサビと牛乳を混ぜると、香りが際立って、ものすごく青臭い飲みものになるのです(実践しました)。
あくまで持論ですが、
ウバやアッサムのように味が濃いお茶は、牛乳の濃厚さと釣り合って、バランスのいいミルクティーになる。
一方、香りが個性的なお茶も、牛乳が香りをビシッと引き立たせるので、味わい深いミルクティーになる。
ただし、フレッシュな緑の香りは青臭さが増しておいしくない(ミントティーや煎茶など)。ケニア紅茶の甘みのある芳香の場合は、香ばしさが増し、牛乳のコクと絶妙なタッグを組んだのだと思います。
今や市民権を得たほうじ茶ラテや抹茶ラテも、これに当てはまっちゃいませんかね(鼻息)。
お茶を飲んでいて、「なんだか、個性的な香りだな」と思ったら、ためしに牛乳を入れてみてください。
今回のケニア紅茶のごとく、ステキな変身に出会えるかもしれません!
ちなみに私が次にトライしようと思っているのは、「梅こぶ茶」です。
牛乳と梅とこんぶ。化学変化が楽しみです。
ウフフ。
(おいしかったらご報告します。なかった場合は、察してください…)