ミルティンくんと親バカ運動会
昨日は、わが家のミルティンくんことS志の運動会でした!
今年は年長さん、保育園さいごの運動会です。
S志の保育園では、年長さんの花形種目といえば「竹馬」です。
S志は、パパにマイ竹馬をねだり、休みの日は近所の公園で自主練に励んできました。
「たけうまはね、きもちがうしろにいったら、のれないものなの」
小出義雄監督(Qちゃんの)のスポーツ魂が乗り移ったかのように語るS志。赤ちゃん時代からインドアで「おうちかえる」が口癖のS志とは別人のようです。
聞けば、近所の年長さん仲間も似たパターンでマイ竹馬をゲットしているとか。地域のやる気スイッチを担う竹馬。ブームが去ったらかさばる竹馬。
しかし、その竹馬よりも、S志がキラキラ語る種目がありまして。
それが、「紅白リレー」です。
「S志、ものすごくはやいの」
「H菜ちゃんより、K也くんより、5秒くらいはやいのね」
「まがるとこは、ちいさくまわるのね。S志まわりかたがうまいらしいの」
「きっとうんどうかいでびっくりしちゃうとおもうわ」
毎回「だって瞬足はいてるもん」と靴頼みで締めくくられるのが気がかりではありましたが、妙に具体的なポイントを押さえてくるのがどうも、信じたい気持ちにさせますな。
紅白リレーといえば、なんといってもアンカーです。
毎年クラスで一番速い子が選ばれます。
まさかS志が。いやいや、なわけないよ。わからないよ、アンカーかもよ。いやいや私の子だもんむりだわー。でも、なんか、アンカーな気も、するネッ。
親バカってこわいですね。
気づけばそんなひとり問答をしちゃうんですね。
さて、当日。
秋晴れに恵まれ、山の中のグラウンドは気持ちのいい青空に包まれました。
例の竹馬は、クラス全員ぶじに成功!
「とうとう、竹馬やる年になったんだね」
「ほんと、あっという間だったね……」
となりでは、子どもの成長に涙をふくお母さんも。
「大きくなったな」と思うと、なぜか泣けてくる。子どもががんばってると、泣けてくる。うれし涙ともちょっと違う、なんでしょうねこういう涙は。
しかし、じつは私はそれどころではありませんでした。
保護者会制作の卒園アルバムの撮影係になっていたため、カメラ片手に右往左往してたのです。竹馬も、「ピントが!」「逆光!」「うおおY美ちゃん撮ってたらH菜撮りもらした」とかやってるうちにS志の出番終了と。うん、別の意味で泣きそうです。
そして、ついに紅白リレーのときが来ました。
運動会のオオトリです。
第1走者は、Y美ちゃんとK保ちゃん。真剣な目で走り出しました。
第2走者は、K太くんとA人くん。早くも白組のK太くんがA人くんを引きはなす。グラウンドは、歓声で大盛り上がりです。
私はあいかわらずカメラ担当で、ファインダーには順番を待つ走者たちの姿は入りません。小さなランナーたちを写真におさめつつ、だんだん、うわの空になってきました。
S志、何番目なのかなあ。
やっぱり……アンカー?!(私の頭の中の親バカ)
と思った瞬間、白組の3人目で、アッサリS志が登場。
はやっ。
親バカの夢は、短かかった。
S志の走りはファインダーごしに見届けて(「うまい」と豪語していたコーナリングは見逃した)、またカメラに集中です。ぜんぶで12走者まで走るので、勝負はこれから。
第9走者はM里ちゃんとH菜ちゃん、第10走者はN平くんとK也くん。いよいよ終盤。「がんばれ!」「はやいはやい!」みんなの声にいっそう熱が入ります。紅組がだんだん距離をつめてきた。
逃げ切ったN平くんが、白組の第11走者にたすきを渡しました。
……
ん?
「あれ……S志じゃね?」
夫が肩をゆすってきました。
あれっほんとだ(ゴシゴシ)、S志に見える……
なにこれデジャブ?
えっじゃさっきの誰? ドッペルゲンガー?(なわけない)
わけわからないけど、とりあえず写真を撮る。
気づいたら白組アンカーのR太郎くんが、紅組アンカーのM士くんをふりきってゴールしてました。
すぐデジカメの画像を見直すと、やっぱり両方S志です。
「白組のメンバーがひとり足りなかったんじゃないか」と夫。
なるほど、人数合わせのために1人で2回走ったんですね。
補充するには、速すぎる子でも、遅すぎる子でも不公平。そこで、速くも遅くもなく走行能力的に無色透明ポジションであるS志に! 白羽の矢が立ったと!
さすが先生。子どもの良さ(良さか?)をたくみに生かしてらっしゃる。
「ねえねえ、みてた? S志、リレー2回はしったの!」
「すごかったな! 2回も走って、かっこよかったぞ!」
遠方から来ていたおじいちゃんも大喜びです。
アンカーじゃなかったけど、思いがけずスペシャルなリレー体験になったのでした。
なったのですが。
今朝、T先生に会いまして。
「S志くん、リレーありがとうね」
「あ、2回走ってましたね!」
「そうなの、人数が足りなくて」
「やっぱりそうでしたか!」
「白組の男の子たちに『2回走ってくれる?』って頼んだら、みんな『やだ』って」
「……」
「S志くんだけが『いいよー!』って」
「……」
あらっ
これって消去法?
保育園の運動会、それは親バカが一喜一憂する場所……
でも、ふりかえれば去年は、竹馬どころかかけっこすら満足にできなかったんですよね(「よーいドン」を二度にわたって失敗した黒歴史はこちら)。今年はちゃんと一緒に走れたんだなー。
他のお友だちも、今年は顔が違いました。「かわいい」じゃなく「かっこいい」。もう来年は小学生なんだね。
昨日撮ったみんなの写真のまぶしさは、親バカじゃないですよね。