• 私だって、おっぱいが飲みたい

    このところ、私のまわりはベビーラッシュ。
    5月から10月の間に、6人の友だちが子どもを産みました。
    先日、10月生まれの子を産んだ友達に「大変だけど、まわりに甘えながらがんばって」とメールを打っていたら、S志が産まれて初めての冬の記憶が、ふとよみがえりました。

    「そういえば私、あのころ、よく牛乳飲んでたな」

    私は、牛乳をそのまま飲むのはあまり得意ではありません(ミルティンママなのに)。
    でも、その冬は人生最大の牛乳消費量だった気がします。
    今日はそんな、育児がいちばん大変だったころの牛乳の話をしたいと思います。

     

    S志は夏生まれなので、冬のはじまりの今ごろは、生後3〜4ヶ月。
    以前も書きましたが、ものすごくよく泣き、さらに寝ない子でした。

    寝ない赤ちゃんの寝かしつけって、かなりの技術力と精神力が求められますよね。匠の世界といっても過言ではない。
    抱っこの揺らし方そして角度に飽くなき追究を重ね、いざ、まぶたを閉じたら、本睡眠に入るまではひたすら忍耐。そして「オチた」タイミングを冷静に見極め、いよいよベッドに下ろす。腕に頭を乗せたまま静かにふとんに下ろし、熟練職人のようなスムーズな動きで腕を抜く。
    よしっ! 完璧だ!
    と心のなかでガッツポーズをした瞬間、「アー…」という容赦ない泣き声に膝からくずおれることもしょっちゅう。こうなると、イチからやり直しです。


    ベッドでお昼寝してもらわないと、手が空かない。ちょっとでもいいから好きなことがしたい。ひとりの自由時間が諦めきれなくて、夏から秋は、毎日この不毛なチャレンジをくり返していました。
    しかし、冬のはじめに、

    「こんなロシアンルーレットやってられるか!」

    と爆発しまして、ベッドで寝かすの、やめたのでした。
    ずっと抱っこでいいや。寝なくってもいい。
    昼間の自由時間はなくなるけど、そう思えば気持ち的にはとても楽になりました。寝かそうとがんばるから、裏切られて疲れる。名作ボクシング漫画『はじめの●歩』にも、「ボクサーが一番疲れるのは、空振りをしたとき」って書いてあったっけ(うろ覚え)。わかるなあ。

     

    夜になれば、S志はベッドで眠ってくれます。
    最初に寝入ってから、次に夜泣きで起きるまでは、1時間の猶予があります。
    この1時間が、私にとって唯一の自由時間になりました。
    テレビを見たり、パソコンを開いたり、友だちにメールしたり、雑誌や本を読んだり、お菓子を食べたり、ソファに大の字になったり、思い切り自分を甘やかすことにしました。

     

    この夜の甘やかしアワーに欠かせないのが、
    何を隠そう、ホットミルクだったのです。

    なぜでしょう、その頃、むしょうにホットミルクが飲みたかったんですよ。
    この一日でいちばんぜいたくな時間に、ふつうのお茶では物足りなくて。
    栄養があるからというのではなくて、牛乳が、自分にやさしいもののように思ったんですよね。
    ミルクパンでふつふつ温まっていく牛乳を眺めていると、うまい具合に気持ちがオフモードに切り替わっていく気がして、毎晩、欠かせない楽しみになりました。

    で、だんだん凝りだして、いろんなホットミルクを試すようになりました。
    その頃のお気に入りをちょっとご紹介します。

     

    【ハチミツミルク】

    温めたミルクに、はちみつを入れてよく混ぜるだけ。
    とっても簡単で、いちばんよくつくったミルク。
    はちみつは、消化が良くて、さらに疲労回復効果があるんだそうです。

     

    【きび砂糖×黒糖ミルク】

    ちょっと濃厚なのが飲みたい気分のときに。
    黒糖は、さとうきびの絞り汁を精製せずにつくったお砂糖で、クセがあるけれどキャラメルのような風味が楽しめます。きび砂糖は、黒糖よりも少し精製が進んだお砂糖。どちらも、白砂糖よりもミネラルが豊富です。
    ダブルで入れると、黒糖のクセが目立たなくなって、ミルクの甘みとよく合います。

     

    【カモミールミルクティ】

    ①カップにカモミールティーのティーバッグを入れて、80℃くらいのお湯を3分の2くらい注ぎます。
    ②それから蓋をして(小皿やラップで)、4分くらい、ゆっくり蒸らして濃く出します。
    ③電子レンジであたためた適量の牛乳を注いでできあがり!

    もともとカモミールティは甘い香りのするハーブティですが、牛乳を足すと、さらに花の香りが増してしあわせ気分になります。
    カフェインレスなので、S志も2歳くらいから一緒に飲んでました。
    「おはなおちゃ」と言って、すごく気に入っていました。

     

    【ミルクで練るココア】

    牛乳だけでつくるココア。
    大学時代バイトしていた、京都の名曲喫茶で覚えたつくり方です。濃いめなのが特長。ちょっと手間かかりますが、「ほわー!」と叫びたいくらいおいしい。

    ①小さな鍋に、ココアの粉(100%で無糖のもの)を大さじ1杯いれます。
    ②ココアの粉に牛乳を少しだけ注ぎ(大さじ1杯くらい)、スプーンでよーく練ります。
    ③鍋を火にかけて、中火にし、牛乳(150ccくらい)を少しずつ注いで、混ぜながら温めます。
    ④ココアがふつふつしてきたら、沸とう前に火を止めて、できあがり!

     

    2歳ごろになると夜泣きがぐっと減り、この甘やかしアワーも自然にやらなくなりました。めでたいような、ちょっとさびしいような感じ。
    ずっとあとになって、牛乳には安眠成分が含まれていたり、リラックス効果があることを知りました。やっぱり体が求めるものは間違ってないのですねえ。

    それに、なにより牛乳って、ウシのおっぱいですよね。
    一日中赤ちゃんにおっぱいをあげていた私は、
    誰かのおっぱいを飲んで、甘えたかったんじゃないかと思うのです。

    あーあ、私もぐずぐず泣きたい。
    そんな気分になったら、
    牛乳で「ホットおっぱい」、いかがでしょうか。

レシピ一覧
3月 モー子の桜色ミルクカフェ
2月 ミルコリー野のチーズdeショコラ
1月 ばあちゃんのぽかぽかミルク手当て
12月 サン太のミルククリスマス
11月 イモ子とクリ男のミルクキッチン
10月 ボンジョル野のミルクイタリアン
9月 マイクさんのミルクブランチ
8月 ケンちゃんの夏やすみるくアイス
7月 マサラ田さんの夏カレーセット
6月 コバヤシさんのミルク御膳
5月 陳さんのミルク中華
カテゴリー
月別アーカイブ
最近の記事