ミルティンくんとバレンタインの乙女たち
今週はバレンタインデーでしたね。
去年、わが家のミルティンくんことS志ははじめて同じクラスのY美ちゃんからチョコレートをもらったんですよ。
果たして今年ももらえるのかな。もらえたらいいなあ。
しかし本人は、
「だれにもらえるかな~」
もらえること前提なのでした……。平和。
Y美ちゃんに限らず、保育園の女子たち(とそのお母さん)のなかではバレンタインデーは季節のイベントとしてエントリーされているようです。
先週は、お母さんたちが「ラッピング用品は100円ショップがいいよ」「ペロペロキャンディーみたいなのが作れるセットも売ってる」と情報交換している姿も廊下でちらほら。
しかし、そんな園児社会の流れをよくわかってらっしゃるのが保育園です。
前日、保護者用の掲示板にこんな張り紙がしてありました。
あらら、やっぱりそうだよね。
寂しく思う一方、
「まあこれで、もらえなくても『チョコ禁止だったからもらえなかったんだよ〜』ってなぐさめられるわ」
とホッとしたりして。
チョコゼロでもいい。おだやかに過ごしてほしい。
(非イケメン男子の)親心であります。
さて、14日当日。
お迎えに向かうと、保育園のそばの駐車場に見覚えのある車が停まっていました。
Y美ちゃんちの車だ。
「M子さん、S志のチョコ持ってきたよ! M里からのも預かってるよ」
Y美ちゃんのお母さんです。
園は持ち込み禁止だったため、外で渡そうと待っててくれたらしいです!(Y美ちゃんとはお迎え時間が近いのです)
ええ、歌舞伎の早変わり並みのスピードでS志の帰りじたくをまとめ、Y美ちゃんのもとへ走りましたとも!
S志をつれていくと、Y美ちゃんが小さな紙袋を手渡してくれました。
「こっちがY美ので、こっちがM里のだよ」
なんと、今年は2つも? ホント?
気づけばiPhoneで写真撮ってました。
この先、二度とこんな光景おがめないかもしれないですよ。
5歳がモテ期という可能性だってあるわけよ。
(非イケメン男子の)親心パート2であります。
しかし当のS志は大喜びかと思いきや、
「ああ、ありがとありがと」(小刻みにうなずいてる)
釣り銭受け取った魚屋のおやじか。
幸いにも、Y美ちゃんは「その反応はないわ~」と鋭い目をすることもなく、「あのね、はこのなかにね、はいってるからね!」と念を押しながら車に乗り込んでゆきました。
女の子って、かわいいです。
そんなY美ちゃんの直球勝負に対し、S志の反応の薄さにはがっかりですヨ。
うれしくないのかなあ。
乙女心に申し訳なさを感じつつ車を見送っていたら、S志が手を振りながら叫びました。
「おかえりなさーい!」
……
「アッ、まちがえちゃった……」
手をぐるぐる回しながら走り出すS志。
今の、バイバイの間違いだったのか。
これ、照れかくし?
なーんだ。地味に舞い上がってたのですね。
そのあと、「あめにぬれたら、チョコががらがらってこわれちゃうかもしれないからね!」と抱え込んで猛ダッシュで帰宅し(小雨が降ってたのです)、家に帰るなり、正座して食しておりました。
「おんなのこは、どうしてハートをつくるのがうまいのかなー」
「おんなのこのおててにはおいしいあじがついているのかなー」
などと小沢健二ばりのロマンチック発言も飛び出す。
「喜ぶなら、本人の前でやれよ」という気がしなくもないですけども、この素直になれなさが青春なのだろうか。
浮かれた姿(チョコ片手にウルトラマンマックスのポーズ)を写真におさめ、Y美ちゃんとM里ちゃんのお母さんにメールで送っておきました。
2月14日、
けっきょく想像以上に波乱ある一日となりました。
しかし、バレンタインデーの本番って、これからの思春期ですよね。
私も、思い返すとかゆくなる思い出のひとつやふたつ……あ、もうかゆい。
中学生くらいになったら、S志はどんな顔でこの日を過ごすのか。
Y美ちゃんやM里ちゃんも、どんどん大人になって、
今日のこともいつか思い出になるのかな。
……
「そういえば保育園のときさあ、S志にあげてたよね~」
「マジありえな~い」
「マジ黒歴史~」
ブルッ。
まずい、切ない想像しちゃった。
幸せすぎると心配になっちゃう小心者でして。