ミルティンくんは36歳になりたい
オリンピック終わってしまいましたね。
中継はほとんど観られなかったけど、毎朝のオリンピックのニュースはすごく楽しみにしていたので寂しいです。
わが家のミルティンくんことS志も、今回のオリンピックはけっこう真剣に見てました。
思えば北京のときは2歳になったばかりだったんだなあ。寝つくのに1時間かかるぐずっコ赤ちゃんで、暗い部屋で抱っこしながら、リビングのテレビをドアのすき間から見てた記憶があります。
今回、水泳の男子メドレーリレーのメダル獲得の瞬間をニュースで見たときは、
「おおきくなったらオリンピックにでて、S志もこういうのにかちたい」
(珍しく)男らしいことを言ってました。
さてそんな影響もあったんでしょうか。
このあいだ、S志がいつになく「大人になったら」の夢をアツく語った日がありまして。
S志が長文をしゃべるのはだいたいおふろの時間です。
(そのほかは、おもちゃにアテレコしてセリフ言ってる)
この日もおふろの時間でした。
湯ぶねにつかりながら、
「S志、36歳になりたいんだよね」
いやに端数を言い出したのです。
いやわからなくもないです。自分も子どものときは、端数を言いたがるふしがありました。そっちのほうがカッコイイ気がして。「ワルサーP38」って名前を小学校のとき初めて聞いてトキメいた記憶があるけど、何が良かったって、「ワルサー」でも「P」でもなく、「38」が何かカッコ良く思えました(超余談)。たぶん、そういうことなんじゃないか。
「S志、36歳になったらね、おおきいじてんしゃのりたいの。
あとね、なまのおにくもさわれるようになりたい。おりょうりしたいから。
あと、おおきいほうちょうがつかえるようになりたいの」
えっ36歳にしてはハードルが低すぎなような……。
S志の夢の具体案に一瞬ボケーとしましたが、よく考えると、今のS志にとっては「いくらがんばっても、ちっちゃい今は、できない(やらせてもらえない)こと」なんですね。きっと、私が「ハリウッド女優になりたい(仮)」と思うのと、S志が「大きい包丁使いたい」と思うのは、近いレベルなのかもしれないです。
S志はいつのまにか洗面器をかぶり、語り続けました。
「でね、S志はおしごともしたいとおもってる」
お、いよいよ将来の夢っぽい話になってきました。
消防士さんかな。
酪農家さんかも?
将棋の棋士とかもいいなあ~(夢みがち)
「あのね、パソコンをぱしぱしたたくおしごと」
「……」
「S志、たいこじょうずだし、じょうずにたたけるとおもうの」
私がよく家のパソコンで仕事してるからかと思うんですが。
私、「パソコンをたたくお仕事(太鼓的な意味で)」と思われてるっぽいです。がーん。
そしてさらに、話は将来像へ展開していきました。
「それでね、Y美ちゃんと、けっこんするの。
ママとパパとみんなでおうちにすむの。
Y美ちゃんのパパとママもいっしょにすむの」
Y美ちゃんは、保育園がいっしょでずっと仲良しのお友だちです。
同居かー。
まずはお嫁さんの意見を聞いてからの話かな。いざ結婚となったら2人で話し合って決めないと。
でも、Y美ちゃんのお母さんともママ友だし、三世帯住宅もけっこう楽しいかもしれないなあ。
でも、マザコンすぎるって呆れられちゃうかも。いや私は嬉しいけど。
お風呂の壁を見つめながら想像を(親バカ方面に)暴走させていたら、S志が「ママ、ほら、げんごろーのマネだよ!」と湯ぶねに浮かんでぜんぜん違うことやってたので我に返りました。
「そういえば、なんで36歳になりたいの?」
おふろから上がって、タオルでS志の頭をぐりぐりしながら聞いてみました。
「だって、パパが35歳じゃん!」
「?」
「だから、パパよりおおきくなりたいのS志は」
なーる。
S志にとって「おとな」はパパ基準なのか!
端数のなぞがとけました。
しかし、その基準でいくと、いつまで経ってもパパの年齢より大きくなれないけども。
でも、20年後くらいに「久しぶりに実家帰ったら、おやじが小さく見えてさ…」なんて言って、しみじみ大人を噛みしめるのかもしれないな。
想像してふたたびボケーとしましたが、S志が「ママ、うまくのらない」とクマのぬいぐるみを頭に乗せたくて半泣きになってる姿をみて、また我に返りました。