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    男児の家、必ずカブトムシかクワガタの入りける箱あり。

     


    近所のドラッグストアでもらってきた
    カブちゃんとクワちゃん(就寝中)

     

    カブトムシが男のロマンとされるのって世界共通なんでしょうか?
    甲虫を戦わせる世界最強決定マッチのDVDとか、外国にもあるんだろうか。
    ※プロレス風の本格的な実況入りでTSUT●YA子どもコーナーでは大人気。

    ふしぎになるくらい、日本では幅広い世代にわたって昆虫が好きですよね。
    もちろん、S志の世代もそうです。

    見ていると、虫好き男子のヒーローはすごく選手層が厚い。
    たとえばS志のクラスのT樹くんは、またの名を「むしはかせ」として男子からのリスペクトを集めてる子どもなんですが、彼のお気に入りはオトシブミとコガネムシ。
    別のY世くんは、ハンミョウとカミキリムシ。みんな、それぞれトキメキポイントがあるんだろうな。「カブトムシとクワガタがいればいいんでしょ〜」とか思ってたんですが、そんな考えは、福原愛ちゃんだけで卓球界を語るようなものであった。

    S志もこの夏は昆虫図鑑をヘビーローテーション。
    朝起きていちばんに、保育園から帰ってからも、ソファで熱心に開いてました。
    夜寝るときも「いっしょにねる」とベッドに持ちこむ始末。
    ちょっとした二宮金次郎レベルです。この調子で『論語』とか読んでくれたら……(なわけない)

    ちなみにお気に入りは、
    ハチに見えるのに実はガだという、オオスカシバ。
    あと、ミズスマシにもハマってるようです。

    「ミズスマシはね、4つ、目があるんだよ! ママ、ちょっとミズスマシのまねしてごらん!」

    いや、ほ乳類にはハードル高すぎるよね。

     

    夕ごはんのあとは、こんな号令がちょくちょくかかります。

    「S志がむしせんせいになってもんだいをだすよ!」

    むしはかせのT樹くんへの憧れだろうか。

    「クモはこんちゅうでしょうか!」
    「アリは、さなぎになるでしょうか!」
    「ゲンゴロウは、さなぎになるでしょうか!」
    「みんなきょうはちゃんとおぼえてかえってね、ゲンゴロウはさなぎになりますよ。いいですね」

    夏の終わりとともに、先生っぷりも板についてきました。
    たまに、質問受け付けコーナーもあります。

    S「はい、じゃあせんせいにききたいことあるひと〜」
    M「はい先生! 虫にも血は流れているんでしょうか!」
    S「そうですね……むしにもちはながれているでしょう……せんせいはみたことはないです……」
    M「先生! 虫はどうやってお話しているんでしょうか!」
    S「むしはないたりします」
    M「でも、幼虫は鳴かないんじゃないですか!」
    S「ここらへんかな〜って、おもったりすると、わかります。こころでおはなしします」

    ムチャぶり生徒にも一生懸命考えて答えてくれます。
    むし先生ごっこは私もけっこう白熱してしまうのでした。

     

    そんな昨日のことです。

    保育園からの帰りにエレベーターに乗っていたら、
    エレベーターの壁に、小さな、キラキラ光る緑色の丸いものがくっついていました。
    あっ、コガネムシだ!

    「S志! 虫がいるよ!」

    図鑑のコガネムシページも、もちろんくまなく読んでいるS志です。
    こんな至近距離で見られてラッキーだなあ。
    振り返ると、むし先生・S志は壁を見つめていました。
    「わあ、すごーい!」そんな声と笑顔を信じていたら

     

     

     

     

    「キャアアアアアアアアア」

     

    「わあっ」(S志の叫びにビビリ)

     

    「こわいよ〜」(ブルブル)

    ……

     

    そう! S志は、昆虫大好きむし先生だけど、本物はこわいのであった!

    私にぎゅっとくっついて、おそるおそる壁を見ているS志の頭頂部を見ていたら、さまざまな夏の思い出が蘇ってきました。

    カブトムシを飼い始めたとき、カブちゃん(名前)をスプーンで動かしてたっけ。
    家の中にガが入ってきたときは、「さいがいにそなえる」などと言いながら速攻でヘルメットかぶってたね。
    虫かごを買ってもらったのはいいけど、セミの抜け殻がたまるばかりだったね……

     

     

    S志を背中にくっつけたまま、エレベーターは5階に到着。

    なんというか、
    上司のカツラがずれた瞬間を見た部下の気持ち(見たことないけど)。
    言葉を継ぎあぐねて、マンションの廊下をのろのろ歩いていると、
    「あのね」
    背中の、下のほうから小さな声が聞こえてきました。

    「どうして、エレベーターにコガネムシちゃんがいたかしってる?
    ながいたびをしてきてね、あっここで、ちょっと休もうっておもって、
    ちょっとはいってきてやすんでたの。
    だから、これからもたびをするからね、
    つかまえたりしちゃだめだよね」

    むし先生が淡々とコガネムシをさわれなかった言い訳を語っていました。

    「そうだね、捕まえなくてよかったね〜」
    「うん」

     

    気まずい空気はいちおう完結したものの、ちょっと元気なかったかも。
    虫にこんなジレンマを抱えていたとは知らなんだです。
    来年の夏はこれを乗り越え、書を捨てて山に出られるかなあ。

    そんなM子の衝撃をよそに、
    帰宅後もカブちゃんをスプーンで動かす、むし先生でした。

レシピ一覧
3月 モー子の桜色ミルクカフェ
2月 ミルコリー野のチーズdeショコラ
1月 ばあちゃんのぽかぽかミルク手当て
12月 サン太のミルククリスマス
11月 イモ子とクリ男のミルクキッチン
10月 ボンジョル野のミルクイタリアン
9月 マイクさんのミルクブランチ
8月 ケンちゃんの夏やすみるくアイス
7月 マサラ田さんの夏カレーセット
6月 コバヤシさんのミルク御膳
5月 陳さんのミルク中華
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