• モーガン・フリーマンと産休の思い出

    もうすぐ、姉が出産します。
    ベビーカー選びのコツとかいろいろ相談に乗っていると、すっかり忘れていた自分の出産のこともいろいろ思い出しますね。
    先日、いよいよ産休に入ったそうです。

    「産休かあ……」

    産休って、今思うと、とても特別な時間でした。
    「休み」ってだいたい、学生のときは宿題だったり、大人になると次の仕事や家事があったり、日本人的感覚なのか、「休んだぶんは何かで返さないといけない」ギブ&テイクな感覚があるんですよね。
    でも産休はホント何もしなくていい。
    宿題も、休めば休むだけたまる仕事もない(2人目の子とかだと違うと思いますが)。
    テイク&テイクな休みって、小学生以降なかなかないですよね。

    お母さんそれぞれ産休の思い出があると思いますが、私の場合はまっさきに思い出すものがあります。
    それが、映画「セブン」とモーガン・フリーマン。

    本日はちょっと、思い出話です。

     

    「セブン」は、キリスト教の「7つの大罪」をモチーフにした連続殺人事件を追うサスペンス映画。監督はダークな世界観で知られるデヴィッド・フィンチャー。1995年公開で、日本でも大ヒットしましたよね。この映画にはなぜか縁があって、映画館で2回、テレビやDVDなど合わせて10回以上見ているのです。たまたま人に誘われたり、貸してもらったり。

    そして、産休に入ったばかりのある夜。
    テレビでまた「セブン」を放送していました。

    私は、「あ、観なきゃ」と、もはや親友の発表会を見るみたいな気分(勝手な扱い)で観始めたのでした。
    「とりあえず顔出しとくか」的な。今さらじっくり観る気はせず、ソファに寝ころんで雑誌を読みながら観てました。

     

    モーガン・フリーマンはベテラン刑事サマセット。
    気性の荒い新人刑事ミルズを、ブラッド・ピットが演じています。
    この町はいつも、雨が降っています。
    ミルズが現場検証の前に2人分のコーヒーを買っておいたのに、サマセットが断るシーンが、毎度もったいなくて仕方ない。
    1杯は下っ端警官にあげるけど、もう1杯は、どしゃ降りの階段に置きっぱなしにするんですよねー。あれ、あのあとどうなるの? 上司に買ったコーヒー断られたらヘコむなあ。アメリカ人はこのへんもドライなのかなあ。
    観るのも10回目となると、犯人より、どうでもいいことばかり気になりますよ。

     

    そのうち、雑誌に夢中になって、テレビはすっかり忘れてしまいました。
    ふとトイレに行きたくなってきた。
    お腹が大きいので、立ち上がるのもけっこう大変です。
    「うんしょっ」と勢いをつけたら、
    手がソファの上にあったテレビのリモコンに直撃。リモコンはフローリングの床に跳ね飛び、フタと乾電池が、ガラスが割れるような爆音をたてて飛び散りました。

     

    「ばしゃーーーん!」

     

    その音にモーガン・フリーマンが驚き、

    「ハッ」

    とすごい形相でこちらを振り返りました。
    やってもうた!

    「あっ、すみません」

    反射的にモーガン・フリーマンに謝り……

     

    謝り……

     

    ……

     

    あれっ?

     

    「サマセット、見てくれ! あのクソカメラマンだ!」

    モーガン(サマセット刑事)が、ミルズ刑事とバスタブをのぞき込んでいた。

     

    そう、なんとリモコン落とした瞬間と、ミルズ刑事の大声にモーガンが振り返ったタイミングが、ぴったりと合致! さらに「いきなりの大きな音(声)にハッとした人の表情」だったのも奇跡的な偶然だったのです〜

    無駄にビクッとなった(しかも謝った)恥ずかしさも忘れ、大コーフンであります。

     

    その夜遅く帰ってきた夫に、

    「今日、ものすごいことがあったよ!」

    夫がかばんを置いたり、ネクタイ取ったりする間も待てず、まわりをうろつきつつ、奇跡のモーガン事件をハアハアしながら鼻息荒く語りました。
    ところが期待に反して、夫ぜんぜんノッてこず。相づちが「へー」だけになってきた。

    「と、いうわけだよ!」
    「へー」
    「あれっ、すごくない?」
    「……」
    「……」
    「いや、小さいことで喜んでるんだなーって思って」

     

    がーん

    夫は私のコーフン度から、「宝くじが当たった」「実は大富豪の生き別れの娘だった」レベルのすごさを想定してたらしい(ザ・庶民の夢)。それがこんなことだったので、逆にびっくりしてたのです。言われて「確かにちっちゃいな」と笑ってしまいました。

     

    このモーガンとの一瞬の緊張感を思い出すたび、その日の空気感がありありと蘇ります。家のなかの小さな世界で、暮らしていたなあ。
    それまでは家には寝に帰る生活だったので、近所の人の顔も知らなかったし、友だちもいなくて。平日昼間の町にも慣れず、家とスーパーと産婦人科だけが、私の世界でした。
    どこにも属さない人になって、「家」とすごく密着してたというか。産休ってほんとふしぎな時間でした。
    ほかのお母さんはどうなんだろう。
    育児が始まると、怒濤のように世界は押し広げられていくのですけどもね。

    でも、今でもモーガン・フリーマンの一件は奇跡だと思ってますよ〜

     

    そんなことを思い出してた矢先、WOWOWで「セブン」を放映していました。何この偶然? また(ひとり)コーフンして、このようにブログにまで書いてしまった次第です!
    しかし、あらためて観ると、オープニングの映像にすべての事件の伏線が隠されているんですね!「セブン」を観る機会があったら、終わったあとオープニングをもう一度観てみてください。

レシピ一覧
3月 モー子の桜色ミルクカフェ
2月 ミルコリー野のチーズdeショコラ
1月 ばあちゃんのぽかぽかミルク手当て
12月 サン太のミルククリスマス
11月 イモ子とクリ男のミルクキッチン
10月 ボンジョル野のミルクイタリアン
9月 マイクさんのミルクブランチ
8月 ケンちゃんの夏やすみるくアイス
7月 マサラ田さんの夏カレーセット
6月 コバヤシさんのミルク御膳
5月 陳さんのミルク中華
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